エンタメなるままに

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「非常宣言」を紹介

今回は、「非常宣言」をご紹介します。韓国映画です。『パラサイト』に出演されていたソン・ガンホさんも出演された作品になります。とりあえずしばらく飛行機には乗れないかもしれません。

オススメする人

  • 飛行機パニック系が好きな人
  • 少しモヤッとしたい人

所要時間

2.5h

概要

ジェヒョクは、娘と共にハワイにいくために空港にいた。空港のトイレで娘が出会ったある男がしつこく2人に付き纏い、ハワイ行きの同じ飛行機に乗っているのをジェヒョクは目撃した。飛行機が飛び立ってしばらくすると、機内の男性が血を吐いて亡くなった。その頃、地上ではSNSに公開された飛行機テロの予告映像を警察が調べていた。捜査が進むに連れて、この予告が偽物ではなく、現在進行形で起こっていることに気がつく。ジェヒョクが出会った男の正体は、ウイルスを使用した飛行機テロ実行犯だった。男の目的とは、そしてウイルスがばらまかれた機内はどうなってしまうのか。

感想

 一言で言うと怖かったです。パニックホラーと分類されている本作ですが、人間の内面をえぐるような恐怖を感じてしまい、何度も退出しようかと考えました。とにかく描写がリアルなので、その点に関しては最高の作品だと思います。あと個人的なのですが、どうも飛行機系の悲劇は人ごととして見られないんですよね。ここから、少し詳細に感想をご紹介できたらと思います。

 まず、登場人物です。飛行機ものあるあると言えばそうなのですが、人数が限られているため搭乗しているそれぞれの登場人物に背景や感情があって、出てくる誰かには感情移入できるのではないかなと思いました。特に、機内でバイオテロが発覚してからの各人の対応や反応は十人十色で考えさせられるものがありました。外から見れば、称賛される行動・非難される行動が表現されているのですが、自分が当事者となった場合に本当にその行動を取るのか、またそれが称賛/避難される行動になるのかは大きく疑問が残りました。

 次に、映像です。バイオテロが発覚してからの機内の映像は衝撃です。前述した人のパニック具合に追加して、ある理由により機体自体が不安定になってしまいます。その時の映像は、一見すると非現実的だけれども、自分が経験したことも想像したこともなかったので、本当はこうなのかもしれないと妙なリアル感と説得力を感じました。

 ここまでで一旦感想は終了です。映像作品としては凄まじい衝撃なのでぜひご覧ください!!

 ここから話の内容、特にクライマックスについて話そうと思います。まだ観ていない方でネタバレが気になる方はここから下はおすすめしません。お気をつけください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 物語終盤で乗客が出した結論とクライマックスについては、大きな疑問が残りました。

まずは乗客の結論です。これ単体では特に何も感じませんでした。現実味はないなと思ったのですが、映画というエンタメの中で物語を盛り上げようとする方向性の1つとして捉えることができました。結果として乗客は助かる訳ですが、その結末に対してソン・ガンホさん演じる刑事の顚末とその表現に大きな疑問が残りました。最後の乗客が集まるシーンですが、とても楽しそうなハッピーエンドの雰囲気で描かれていました。しかし、刑事は車椅子でかつ会話もまともに取れない状態になってしまいました。一度は自分の命を犠牲にして自分の大切な人を守ろうとした人たちが、刑事の様子を受け入れることができるでしょうか。一生背負って生きろとか、負い目に感じろとか思っているわけでは当然ないのですが、自分と同じ決断を下し結果的に助けてもらった人に対して笑顔で「体調が良さそうですね」などと接することはできないのではないのかなと個人的には思いました。物語としてはハッピーエンド寄りに終わらせているのですが、その後ろでは確実に自己犠牲が行われていて苦しんでいる人がいました。その暗い部分を隠して、明るい形で作品を終わらせている点に疑問が残りました。