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「南洋のソングライン」を紹介

今回は、「南洋のソングライン」をご紹介します。屋久島の幻の古謡といわれた「まつばんだ」を追った作品になります。この作品はアトロクで知ったのですが、その時のまつばんだの音源が最高でした。

オススメする人

歴史が好きな人

民謡が好きな人

屋久島が好きな人

所要時間

1日

概要

 屋久島の幻の古謡とよばれた「まつばんだ」の歴史やルーツを紐解く作品です。まつばんだを追うに従って、屋久島の語られていなかった歴史や島の雰囲気が明らかになっていきます。筆者の大石始さんの取材が存分に盛り込まれた一冊になります。

感想

 とにかく屋久島に行きたくなる一冊です。まつばんだを中心に語られる屋久島の歴史や雰囲気に衝撃を受けっぱなしの読書体験ができます。大石始さんの取材も最高です。

 まず、屋久島の歴史に衝撃を受けました。まつばんだは聞く人によって琉球音階を感じる古謡です。この事実から、屋久島は何らかの形で琉球との交流があったのではないかと本書では推測しています。この交流は、文書などに残されているいわゆる正規の歴史ではなく、当時の人々に紐づいた実際の文化としての歴史を物語っています。古謡の特徴から正規の歴史では語られなかった歴史を知るという過程自体がロマンを感じずにはいられません。そして、本書がすごいのはここからです。この歴史を大石始さんは屋久島にルーツのある/住んでいる人を実際に取材して紐解いていきます。史実に語られなかった歴史だからこそ、実際の人の声を聞く。その過程の取材を本書では余すところなく記述されています。読んでいるだけでワクワクと衝撃が止まりません。

 そして、屋久島の自然に対する畏怖の念も本書からひしひしと感じることができます。屋久島は自然と共に生活をしている島です。そのため、自然との距離の近さやそれゆえの畏怖の念が強く存在しています。その証拠に、本書では屋久島で生活している人が実際に体験した科学では解明できない超自然的な出来事が語られます。一見ホラー的な話にも聞こえるのですが、そこには自然に対する尊敬や畏怖があり、本当に自然が生きていると錯覚されられるような気がしてしまいます。読んでいて、怖さとは違う意味で鳥肌が立ってしまいました。大石始さんが花之江河を訪れる場面があるのですが、そこで大石さんが感じたことはぜひ読んでみていただきたいです。

 最後に、まつばんだの音源がyoutubeに存在しているので是非聴いてみてください。

この音源を聴けば絶対に本書が読みたくなります。オススメです!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

youtu.be

 

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