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「うみべのストーブ 大白小蟹短編集」を紹介

今回は、「うみべのストーブ 大白小蟹短編集」をご紹介します。アトロクや佐久間さんなど名だたる番組や人たちが絶賛していた作品になります。短い短編が7つ入っている形なので、漫画としても読みやすい漫画になっています。

オススメする人

  • 日常が好きな人
  • 短編集が好きな人
  • ファンタジーが好きな人

所要時間

2時間

概要

 タイトル通り大白小蟹先生の短編集になります。別々の話が7つ入っていて、どれも全くジャンルの違う作品になっています。タイトルにも含まれている「うみべのストーブ」は彼女と別れた主人公に対して、部屋の中にあるストーブが話しかけるという話です。ファンタジー感も強い話も多く入っているので、ファンタジー好きの人にもオススメです。

感想

 日常の小さな成長と気づきを丁寧に描いた作品だなと思いました。物語ごとに登場人物と一緒に新しい気づきや成長を感じることができるので、読み進めるにつれて自分の中の何かかが変わっている気がしました。設定としてファンタジー要素が強い作品も多いのですが、フォーカスしている部分は人間の感情などなのですんなりと世界観にのめり込むことができました。今回は素晴らしい短編の中でも「雪を抱く」と「たいせつなしごと」の2つの感想をご紹介します。

 「雪を抱く」は夫婦の妊娠という一見喜ばしい出来事に対して、主人公が抱く感情の描き方がとても印象的でした。体の所有権という文脈から、主人公が妊娠に対して、ひいては自分の人生に対して願望を述べている視点は純粋にすごいという言葉以外思い浮かびませんでした。自分の体を自分だけのものにしたいという願望が、妊娠という出来事によって潰えてしまう悲しさみたいな気持ちがひしひしと伝わってました。少し違う話になるかもしれないのですが、私個人の意見として人生のステージの変化は、人生の主語によって変わってくると思っています。若い頃は、「私」が主語になります。パートナーができると、それが「私たち」に変わります。そして、子どもができると、それが「あなた」に変わります。こうした主語の変化が人生の変化なのではないかなと思っています。その主語が変化するタイミングがとても怖くて、特に「私」を手放す瞬間は人生が自分だけのものではなくなってしまうのではないかという気持ちになります。この感情や考えが、本作の主人公の体に対する考えと通ずる部分があって、個人的にとても刺さる作品でした。

 「たいせつなしごと」はどストレートに刺さる作品でした。本当につまらなくて、しんどくて、どうしようもない毎日に差し込んだ光が忘れられません。面白かったのが、この光が抽象的な光ではなく、物質としての光だったことです。主人公はこの光によって、人生に光が差して人生を変える決断をすることができました。日常の何気ない気づきや視点によって光を見ることができるという点で、とても前向きになれる作品でした。私の人生にも光が見えて欲しいものですね。

 全作品とても面白い作品になっています。本当にオススメの作品です。ぜひ読んでみてください!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

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