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「夜が明ける」を紹介

今回は、「夜が明ける」をご紹介します。西加奈子先生の長編小説です。西加奈子先生のハッピーエンドともバッドエンドとも言えない結末が大好きで、読んだ後のなんとも言えない感情を抱きたくて読んでいる節があります。

オススメする人

  • 人生に希望がない人
  • 人の一生を描く長編小説が好きな人

所要時間

1週間

概要

俺とアキの中学生から大人になるまでの半生を描いた作品です。俺とアキの人生を通じて、貧困や過酷な労働環境など現代社会の問題に対して正面から向き合っています。俺とアキの人生はもちろん違う人生で、違う問題と向き合っているが、それぞれの人生がどうお互いの人生と絡み合っているのか。そして現代社会でどう生きていくのか。ぜひご自身で体感してみてください。

感想

現代社会の問題や息苦しさに対して明確な答えを誰も持っていないのではないのではないか。そう思いました。本書は、ハッピーエンドとは言えない終わり方をします。かと言って救いようのない終わり方をする訳ではないです。そんな終わり方の中で、確かに感じたことは、「俺」は自分の人生をありのままに受け入れたということでした。自分の現状を肯定する訳ではなく否定する訳ではなく、ただ自分の人生をそこにあるものとして受け入れた。そんな印象を抱きました。

自分の人生の中で他人が入りうる余地が広がったり、自分にはどうしようもない出来事に直撃したりする現実において、自分の人生そのものを認めることでしか自分を守ることができないのではないかと思いました。ただ、人生にかかわらず何かの存在そのものを認めるということは難しいですね。そういう意味で、本書の「俺」は私たちが現代社会を生きる上での一筋の光なのかもしれません。

 

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