エンタメなるままに

最近楽しんだエンタメをつらつらと書いています

「藤本タツキ短編集」を紹介

今回は、「藤本タツキ短編集」をご紹介します。「チェンソーマン」の藤本タツキ先生の短編集になります。「17-21」と「22-26」の2冊があるのですが、今回は「17-21」の中に収録されている「佐々木くんが銃弾止めた」を中心にご紹介します。

オススメする人

  • ファンタジーが好きな人
  • チェンソーマンが好きな人
  • スキマ時間で漫画を読みたい人

所要時間

2時間

概要

  「チェンソーマン」の藤本タツキ先生が過去に描いた短編集になります。「17-21」と「22-26」の2冊あるのですが、どちらも40~50ページの短編集が3~4つほど掲載されているので、とても読みやすい作品になっていると思います。「22-26」の最後には、「ルックバック」の元になった作品も収録されています。

感想

 藤本タツキワールド全開の作品です。つまり、何の話か分からず最後まで裏切り続けられる2冊になります。「さよなら絵梨」は漫画大賞2023を取ると思います。(2023/02/27現在)

 脱線しました。今回は、2冊のうち、「17-21」に収録されている「佐々木くんが銃弾止めた」の感想をご紹介したいと思います。

 まず、桑野くんが「セックスしてくれよ」といった時の目が最高ですね。明らかに人生に失敗していて、その責任を他人に押し付けている桑野くんは、終始ダメなおどおどしている奴として描かれています。拳銃を持つ姿もあまりにも不格好で、とても何かことを起こせるとは思いません。しかし、「セックスしてくれよ」と言った時のそれは、殺人者の姿そのものでした(実際に見たことはありませんが)。特に、黒く塗り潰された目は、この後どんなことでもやってしまう恐怖そのものを描いているようでした。不格好な男に垣間見える本当の恐怖が、藤本タツキ先生の作品の素晴らしいところだと思いました。

 次に、物語の内容もとても好きでした。銃弾を止めるというどう考えてもありえないファンタジーな出来事ですが、川口先生の「確率は0パーセントではない」という話によって、一気にファンタジーではなく人間の物語へと変化させます。つまり、「確率は0パーセントではない」という設定によって、物語内で起こる全てのことが本当のことであるかのように変化してしまう展開が好きすぎました。佐々木くんが桑野くんに向けて言った、「未来からきた」という話ももちろん嘘なのですが、それを嘘とは感じさせない物語の作り方が素晴らしすぎました。最後のシーンもとても好きでした。佐々木くんは、月にお父さんがいることを確かめるために宇宙飛行士になりました。もちろん月にお父さんはいなかったのですが、その時に佐々木くんが川口先生に行った「あはは!いませんでした!」というセリフが最高でした。このセリフから、佐々木くんもお父さんがいないことがわかっていつつも、「確率は0パーセントではない」という言葉によって宇宙飛行士になるまで頑張った過程が垣間見えた気がして、とても好きでした。

 最高の短編集です。藤本タツキ先生の初期の作品を存分に楽しんでください。オススメです!!!!!!!!!!!!!!!!1

 

Amazon

https://amzn.asia/d/5jhFgh0

https://amzn.asia/d/7svQLmC